買い物がてら、夜の街をふらついていた日の出来事。
ネオンライトにまぶしく照らし出される自分の陰影を、強がっていた過去の自分と重ね合わせながら、止まってしまった時計の針がもう一度動き出してくれることを願いつつも、なんら変わりのない日常をただ歩き続けている事に嫌気がさしてきたと感じていた。
繁華街を歩いていると、道の一角で椅子に腰掛けて占いをしているおじさんやおばさんをよく見かける。
この人たちに自分はどう映るんだろうと思った僕は声をかけてみた。
するとなんと占うには4000円かかると言う。たかだか占いにそんな金は払えない。
僕がどうかしていた。
こんな素性もわからず、闇の世界を経験したかもわからないような奴に自分を占ってもらおうなんて。
そもそも自分の未来を一個人の意見にゆだねて左右されるような人間が、暗闇から抜け出すことはおろか、自分の夢なんて叶うわけはない。
日夜酔っ払いを相手に、自分との葛藤と戦いながら働いている飲み屋の女の子に話を聞いてもらうほうが、よっぽどためになると感じた夜であった。
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