阿部サダヲ主演のTBSドラマ「不適切にもほどがある!」で、昭和(1986年)から現代にタイムスリップしたおじさんが、令和のコンプライアンス問題に切りかかる描写は実に斬新で見ていて面白い。
昭和の感覚で発言した内容が、令和となった現代ではやれセクハラだのパワハラだのと騒がれてしまい、今の感覚にすっかり慣れてしまった令和世代からすると「今だったら訴えられるだろうな」と思うシーンがたくさんある。
今の世の中を生き抜くにはちょっとした発言でも気を遣う必要があり、「言いたい放題言えた昔は生きやすい時代だったな」と考えるおじさん世代も多いのではないだろうか。
厳しい風潮で窮屈に感じることも多いが、今の時代に必要なことでもあると僕は考える。岐阜県にある岐南町の小島英雄町長が第三者調査委員会の調査により、99件のセクハラ行為が認定されたニュースが世間を騒がせたのは記憶に新しい。
調査報告書によると「女性職員の尻を触る」、「背後から抱きつく」などといったセクハラ行為があったという。ほかにも、自分が出勤する前に職員を庁舎(町長室?)前に整列させて挨拶をさせる、「懲戒」や「クビ」といった恫喝が日常的になされるなど、パワハラ行為も認定された。
しかし、99件の行為の中には「頭をポンポンと撫でる」や「女性職員を下の名前で呼ぶ」、「個人的に昼食に誘う」、「LINEを聞く」などといった軽い内容も。世間では「気持ち悪い」といった意見があがる一方、「それくらいのことはやってもいいのでは」といった意見があった。
ただ、問題なのは”それくらいのこと”でも「セクハラ」として訴えた職員が多数いるということ。もし、面倒見がよく、普段から慕われるような人であれば、それらは「コミュニケーションの一環」としてとられるだけだったであろう。職員の信頼が得られず、批判的な意見が多数寄せられたことが問題であり、町長としての資質が問われる事態だ。
昔は「ハラスメント」という言葉があまり広く知られていなかったが、今ではセクハラ、パワハラ、モラハラ、マタハラなど次々と新しい言葉が出てくる時代。部下をモノとしてしか扱わない管理者や、暴言を吐いて自分のストレスをぶちまける指導者など、昔の感覚のままでいる方々は今一度自分の考えを見つめ直してほしい。周りから「ハラスメント」という言葉を使われ、いつか非難の声を浴びる日が来るから。
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