上手なウソのつき方

スキー場にて 世の中って!?エッセー
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みなさん、ウソをついて親に怒られたりした事はありますか?
僕は「ウソつきは泥棒の始まりだ」なんてよく言われていた。
確かにウソをつかれると嫌な思いをする。
僕はよくウソをついていたので、たくさんの人を傷つけていたかもしれない。
二十歳をこえたぐらいから意識するようになり、極力ウソをつかないようにしていた。

しかし、ウソは本当にいけない事なのだろうか?
ついていいウソといけないウソがあるという人もいる。
時にはウソをつかなきゃいけない時だってあるし、自分を守るウソもあれば、人を傷つけないためのウソもあると思う。
そういったウソならみんな悪気はなくとも無意識についてしまっている事もあるのではないだろうか。
僕も大人になった今でもそういったウソならよくついている。
そんな僕がついたウソの中でも人間関係を深めるような“いいウソ”を話したいと思う。

あれは、20代前半の頃、スキーにどっぷりつかっていた時代があった。
冬になると週末スキーに行ってよく遊んでいたのだが、週末スキーじゃあきたらず、スキー場のアルバイトでシーズン中はとことん滑りたいと思うようになり、岐阜県のスキー場に住み込みで働く事になった。
初めての寮生活という事もあり少しドキドキしていたのだが、そこの寮は個室ではなく2人一部屋になっていて、僕が寮に入った時にはすでに相部屋の人がいた。

部屋で顔を合わせた瞬間「正直この人とは合わないな」という思いが僕の中をよぎった。
相手も同じ事を思っているかもしれない。
しかし、第一印象だけで人を決めつけてはいけない。
僕は極力、話しかけるようにして、その人の事を知ろうと思ったのだが、やはりどうも合わない・・・。

僕は先輩風を吹かす人が大嫌いで、その人の偉そうな態度や言動がとにかく気にいらなかった。
しかも2日か3日、先に部屋に入っただけである。
いや・・・、何年先輩であろうと偉そうにしてくる人が僕には理解できない。
やがて僕は他の部屋によく遊びに行くようになり、食事も他の人ととったりして、相部屋の人とはあまり話さなくなってしまった。

でも4ヶ月も一緒に暮らさないといけない中、このままではいけないと思っていた。
そこで僕は考えたのである。

相手に好印象を与えるためには自分に好意があると錯覚させなければいけないと。

僕は一番仲いい人に「○○君と一緒の部屋で本当によかった」と思ってもいない事を言ってみた。
やがて本人の耳に入る事になったのだが、それから彼の僕に対する態度が一変したのである。
今までの嫌な感じはなくなり、心からしたってくるようになった。そうなると僕もうれしくなりどんどん話したくなる。

結果僕のついたウソによって相乗効果を生み、もうなんでも許しあえるような関係になっていた。
一緒にスキーを滑ったり、外へ食事に出かけたりして、周りの人も「なんであの二人あんなに仲いいんだろう」と言うようになっていた。

そのおかげもあって4ヶ月間の寮生活は本当に楽しい思い出となった。
シーズンも終わる頃、彼が先に帰郷する事になったのだが、部屋での別れ間際「楽しかったよね」などと言い合いながら、彼がうっすら目に涙を浮かべていた事を僕は忘れない。

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