小学校の頃、僕はとにかく水泳が苦手だった。
でもプールは嫌いではないので、小学校のプールの授業は好きだった。
夏が始まり、プールの授業がスタートすると、はじめに個人の能力テストを行う。
何m泳げるかによって、初級・中級・上級クラスと分かれる。
僕は毎年5mも泳げず、初級クラスに配置されていた。
水泳が得意な人は25mプールを往復して50mを泳ぎきり、当然上級クラスに配置される。
それぞれのクラスを担当する先生もまた、泳ぎが得意な先生は上級クラス、泳ぎが苦手な先生は初級クラスに分かれて指導していた。
指導内容は上級クラスがスピードを競ったり、中級クラスは水泳フォームを見直したり、初級クラスは水に慣れたり息継ぎができるようになる事が目的とされる。

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僕は当時クロールや平泳ぎができなかった。
初級クラスで指導された内容はそういった泳ぎではなくバタ足であった。
バタ足で息継ぎができるようになると中級クラスに上がれるらしく、何回かの授業で僕を含め5人ぐらいの生徒が中級クラスに上がる事ができた。

中級クラスに入り、何m泳げるようになったかをテストされるのだが、なぜかクロールで息継ぎをして泳がないといけなかった。
当然中級クラスに上がった生徒全員が初回のテストよりも断然泳げない状態。
そんな僕たちを見て中級クラス担当の先生は、中級の下グループというものを特別に作り対応していた。
中級クラスの先生はクロールしかできなかったのか、クロールしか教えていなかったようである。
初級クラスの先生はバタ足しかできなかったのだろう。

25mプール

しかし、なぜ中級クラスの先生は初級クラスから上がってきた生徒全員が泳げないことに対して、不思議に思わなかったのだろう。
初級クラスの先生に訳を聞かなかったのだろうか?
引継ぎが全然行われていない状態で、なおかつ自分の指導方針のみで対応している。

息継ぎが教えられても、引継ぎができなければ、まったく意味がない。

僕は子供ながらにおかしいと感じていたので、その次のテストではいっさい息継ぎせずに10mほどを泳いだ。
僕は息継ぎさえしなければクロールは泳げたのである。
先生は僕が息継ぎしていないことに全然気づいていなかった。

こういった教育現場はよく目にする事なのかもしれない。
指導者が正しいことを言っているように見えても所詮は自分のエゴである。
それよりも生徒1人1人を見て、それぞれどこを得意としているか、どこが苦手なのかを見極める力が指導者として問われるべきである。

クロールはできるが息継ぎができない人、息継ぎはできるがクロールができない人、どちらもできるがクロールと息継ぎの組み合わせができない人、さらに冷たい水が苦手な人、深いプールが苦手な人。

相手の個性や特徴、弱点などを見てあげることにより、たかが25mのプールの中でも未来の水泳選手が生まれるかもしれない。

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